【6分割ノート】学習の味方!?

学習における「理想的なノート」とは、一体どんなものでしょうか。端的に言えば「つくったノートを読み返すことで勉強ができるノート」だと考えます。学生時代、特にテスト前になると、数学や物理は公式を覚えてひたすらに練習問題を解きなおすのに対し、英語や古典、日本史、世界史等は、なぜかノートをまとめること=勉強と呼んでいた人もいるかもしれません。そして、なぜかまとめ終わると、そこで一旦満足してしまいがちな気持ちは、共感できる人も多いのではないでしょうか。緑のペンで重要なキーワードを塗りつぶし、赤下敷きで隠して暗記に励んだ経験、もしくはそういう学生を電車の中で見かけた経験おそらく一度や二度ではないでしょう。もちろん一般的に「文系科目」と呼ばれるものは、昔から「暗記・根気・年季」が必要と言われているそうです。なので、もちろん上記のやり方を否定するつもりはさらさらありません。ましてや、短期間の間に数十科目のテストを年に数回乗り越えている学生とその脳みそには是非ご褒美を送りたいとまで思います。
ただ、ここで残念なお知らせが一つ。身についているとは言い難い場合が多いということです。もちろんその場限りで良いのなら、短期記憶能力を伸ばす方面に全力を注ぐことに大いに賛成です。しかし、せっかく学んだことなら少しでもとどめておきたいと思う人や、受験勉強など繰り返し繰り返し覚えることが必要とされる場面では出来るだけ身につけたいと思うでしょう。今回はそんな方々へのノート術の紹介です。

鈴木 暁氏とは、一体何者か!?

突然ですが、鈴木 暁氏をご存知でしょうか。彼はフランス文学研究者であり、”学生のノートの取り方”に着目しました。まず、板書は写すが、口頭の説明はぼ~っと聞いている学生の多さに気が付きます。あくまでも大事なのは口頭で伝えていることで、板書はそのための例示ということが学生は分かっていませんでした。では、なぜそういう学生が多いのでしょうか。一つの理由は、自主的なノートの取り方を教える教師が圧倒的に少なかったと彼は答えています。なら、自分で作り上げていくしかありません。そして彼の考案した「6分割ノート」は、自学自習に有効的だと考えられています。

“6分割ノート”フランス文学研究者の鈴木 暁氏が発案!!

まず、6分割ノートとは名前の通り、ノートを6分割します。原テキストとその解釈に必要なすべての項目を、見開き2ページにまとめるのがこのノートのキモです。とくに自分で調べたことと自分の思考過程が重要となります。
では、1つずつ何を書くのかご紹介していきます。

①テキストのコピーを貼る
まず、書き写さずに、貼る。その理由は、2つあるとされており、1つは理解していない文字列の書き写しは誤りが生じやすいため。2つめはまだ理解できていないことは頭に入りずらく、定着率も低いことが分かっているため。

②単語や語句、構文について調べたことを書く
辞書や文法書で調べたことをこの枠に書きます。テキストの単語の脇にフリガナのように意味を書くことは推奨されていないのでご注意を。知識として覚えるべき情報を一箇所にまとめておくと、覚えないといけない情報と覚えなくてもいい情報が視覚的に一瞬で判別できるため、いざ暗記フェーズに入った時ここを見にくれば良いですね。

③理解に役立つ背景知識・言語外事実などを書く
たとえば、テキストに登場する人物、地名その他の固有名詞は、百科事典などで調べて書き込みます。ただ、このパートは「あるなら書けば?」ぐらいで、なければないで無理せずでOKです。

④疑問点と思考過程を書く
ここが1番重要です。勉強は「自分の言葉で文章化する」ことが大事だと言われています。ただ「分かりません」で終わらせるのではなく、「自分はどこが分からないのか」を掘り下げていくことです。「どこがどう疑問なのか」「どこまでが理解できていて、どこから不明なのか」「どの部分が分かれば理解できるのか」などを整理し自分の言葉でまとめ、書き出した上で、解答・解説を書きます。数多くの問題をこなしていると、「どの問題のどこがわからなかった」という情報はすぐに忘れ去ってしまうので、こうして文章化してわからなかった部分をピンポイントで残していくことは復習において非常に有益です。

⑤訳文を書く
②で単語、熟語の意味を把握し、④で解釈上の疑問を解決すれば、このパートの重要度は下がりますが、理解の確認のために書いておきます。

⑥テキストを書き写す
ここでやっと書き写します。①~⑤までのステップを踏んできた段階の書き写しは自分が思っている以上に効果的です。ただ、時間的にも文章量的にも厳しい場合には自分が分からなかった文や重要だと思う文だけでも良いかもしれません。

“6分割ノート”まとめ

“6分割ノート”では、分からない言葉や内容をスルーせず、自分なりに調べたり考えを深めることが本来の「自学自習」のあるべき姿であり、模範解答を丸暗記することではありません。しっかり腰を据えて向き合うことが、のちのち自分のためになると思います。社会人になっても資格を取るなどの勉強のときにこの記事を思い出してやってみても損はないと思いますよ!
この『JIB-UP(ジブ・アプ)』では、毎回みなさんのスキルアップの方法や考え方、グッズを紹介していきます。ぜひ皆さんのスキルアップや新しい発見の場になることを祈っています。それでは、次回の更新をまた楽しみにお待ちください。